先週、今週。二週に渡って描かれるテーマは『死』。
草若師匠が病で、余命幾ばくもない状況で、とりまく人々の想いをこれでもかと描ききっています。
先週の題目は『饅頭こわい』。草若に弟子の一人一人への想いを語らせつつ、自身の余命が短いことを、糸子(喜代美のお母ちゃん)と視聴者に垣間見せる。この時、病気のことははっきり告知せず、事情を察した糸子は、週の最後のでこう問いかける。
「ほんまのこと、教えて下さい。怖いんですか?…生きるのが…怖いんですか?」
そして今週の題目は『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』。
草若が、自分の死を語るにあたり、糸子にその落語のフレーズを引き合いに出す場面があります。
「『その道中の陽気なこと』というフレーズがよう出てきますのや、上方落語には。
それをきっかけに、陽気なお囃子が入る。
愛宕山で野がけに行くときも、貧乏長屋の連中が花見に行くときも。
死んで地獄へ行くときも、『その道中の陽気なこと』て…。
(中略)昔の人が考えた地獄いうのは、ほんま、楽しいとこです」
「…何でそういうふうに考えたら、今やったらよう分かりますわ…。
死ぬのは怖いこっちゃない、地獄は楽しいとこや」
「…そう思わな……。ちょっと…これ……。…耐えられまへんで…。
ま、まともに向き合うたら…怖うて、怖うて…」
この後、「みっともない男やて…思いはりますか」の問いに、いいえと答える糸子さん。
死ぬのは怖い。向き合う事なんて、並の神経では出来ない。
だから、何かに打ち込まないと、やってられない。
先週から見終わるたびに、胸の内がぐわーっとかき回されます。
何かを書きたい衝動に駆られますが、結局、何も書けません。
上のことも、やっとの思いでまとめた…つか、事象を並べただけなんだけど。
何も言えないことが、ものすごく歯がゆい。
言いたいことがありすぎるんです。到底一言では書き表すことは出来ません。
落語という伝統芸能の継承、草若が築いてきた落語の技術が喪われることの無力感、遺される家族や弟子の想い、道半ばで遺していかなければならない、草若の無念。死への恐怖。そのなかで語られる、受け継ぐことの尊さ、新作落語と言う未知の境地へ旅立つ若狭への言葉。
生きること、命への慈しみ。
「これ、15分ドラマで書くことちゃうわ…」と思いつつ、毎日泣いてます。あきまへんな。
『人間も塗り箸と一緒。どんなに磨いても、積み重ねたもんしか出てこない』の言葉通り、第一週から丁寧に積み重ねた人間模様が描き出す輝きを、黙して見つめるばかりです。