冒頭の、槍を振るうバルサの背後を覆い尽くす滴る緑! 「滴る緑」と言う表現が、これだけ合うアニメを観たのは初めてかもしれません。
これに拮抗できるのは、『もののけ姫』の、シシ神様の森ぐらいかなあ。それでも、あれは映画だもん。TVアニメで、ここまで突き詰めて表現してもええんかいなと、ひっくりかえったものです。『潤いを帯びた森の緑』『目に沁みる癒しの色』とか、ぽこぽこ何かを受信できるぐらい、背景画の圧倒力に改めて呑まれた回でもありました。
そう、この回はトークショーの100インチ画面で初見しまして。映画館にこのままかけろよ! 1800円払ってだって毎週観に行ってやるよ!と、心の中で叫んだ回でした。
そして
「俺の目を盗みやがったなー!!」
と叫んだ回でもあり(=w=
…そう思ったでしょ?でしょ??(笑)
結末が分かってても、やっぱり青霧峠での追跡劇の迫力はものっそいです。ドドドドって、駆けぬける音とかほんまに。
タンダの武人の妻っぷりも笑えます。情けなくてステキ(をい)。前髪がペンギンの翼みたいに顔を隠して、でも涙と舌打ちだけでタンダの気持ちがよく分かるという心憎い演出w。原作より、精神年齢の印象がちと幼い二人ですけど、アニメ版はこれでいいんじゃないかなーと思った回でもありました。
さて、山狩り隊がわさわさ動くシーンで、初見からずっと疑問に思ってたことがあります。
「なんで、似顔絵が出回らないんだろう」と。
放映前にあらすじを聞いた時、似顔絵を張り出されて追っ手がかかるじゃないかと。山狩り隊にも絵姿が出回って、だから逃走はとても難しいんじゃないだろうかと。
でも、放送を見るとそうではなく、口伝で『カンバル人の若い女、子連れで槍を持つ』程度の情報しか行き渡ってない。
とても不思議でした。
考えてみると、新ヨゴの街並みに『図形』『家紋』『絵』は見あたりません。新ヨゴのモデルとした江戸時代では、どの看板にも屋号として某かの記号が入ってるんですが、それがないんです。とても整然とした、左脳的で、塵一つ落ちてない、模型のような街で、『絵』がもたらす右脳的なもの、猥雑さ、カオスティックなもの、華やかさが無いんですね。
あのヨゴ文字が『絵』『記号』的なものを補ってるとすれば、ヨゴの文化は日本とは別のものを持って、『絵』で情報を伝達する発想があまり発達してないのかもしれませんが。
まあ、そこまで難しく考えなくても、「『絵姿が出回ったら、バルサ達が街に住めなくなるからヤ〜ンピ』とスタッフが決めた」、でもいいんじゃねえかと思うエエかげんなわし(=w=
ただ、現実のわしらの生活でも、交番やニュースであれだけ指名手配犯の顔が出回ってるのに、重要事件であるほど犯人が分からないってこともあるからなあ。逮捕されて、「びっくりしました、いい人だと思ってたのに」と勤め先や隣人のインタビューを聞く事例は枚挙にいとまはないしねw
次回からオリジナルパート、『チャグム皇子、市井の生活を学ぶ』編スタートです。傑作揃いですよ。
GENEON ENTERTAINMENT,INC(PLC)(M)
発売日:2007-08-24