ぼちぼち20回近くになるけど、なんだかもやもやしてる。しかも一向に晴れる気配がない。何が原因だろうと突き詰めて考えると、話の核がぼやけてる、ように思う。そのひとつに「主人公に共感しきれない」点がある。
「小夜っていい子だけど、正直、何考えてるのか分かんないよね」
本当に、未だによく分からないんだよ、小夜って子のことが。性格とか人柄じゃなく、彼女の動く目的が見えないんだ。一応、ストーリー上で提示はされてる。「失った記憶を取り戻し、自分が何者かを知ること」と、「『翼手』を倒す先槍として動くこと」。その延長線上にディーヴァとかシュバリエとかサンクフレシュとかが存在してるだけなんだが。
で、生ける兵器の彼女の今は、沖縄での一年間が全ての拠り所で、それが人間らしい揺らぎ=苦悩やジレンマを与え、物語に深みを持たせるはずなのに。なんだか、肝心なことが伝わってない。それが、もやもやしている。考えれば考えるほどぼやけて、後には苛立ちが残る。うーん。
主人公の役割って「物語そのものの方向を決めて、押し進める」の他に、「読み手を引きつけ、物語の流れに引き込む」があると思う。同調であれ反発であれ、主人公に対して何らかの感情移入を覚えることができなければ、物語の深みへはまる気力は沸かない。小夜に魅力がない訳じゃない。むしろ美味しすぎるほどだ。でも、共感出来ない。設定は頭で理解できても、心に訴えるものがあまりない。感情移入しずらいとしか、言いようがないのだ。
ターゲットにしてる年齢層は、「オレの悩みを分かってくれ、でもアンタの悩みはウザイから聞きたくない」が一番尖って現れる年頃。嗜好の幅は狭く深い。「面白ければそれでええよー」な私でも、微妙なストレスを覚えるのだから、敏感な彼らにはよけいに辛かろう。
本来、主人公の揺らぐ姿は、存在に深みを与え物語を楽しむ要素となりうるのに、それがない。ストレスになる一方で共感を呼びづらい。共感が薄い故に、主人公が主人公の役割を果たせない拵えになりつつあるのは、正直痛い。
「BLOOD+」って、何かが足りない。絵も一定レベルできれいだし、全体的に安定感はある。でも、とても大切な何かが欠けてる気がする。キャラとか、設定とか表層的なものじゃなくて、根本的なもの。だからどこか煮え切らなくて、中途半端な優等生の粋から脱却できない。うーん、なんだろー。これから先、大丈夫かなあ。
「あんたの言ってることは、全部ただの考えすぎだぴょーん」ぐらいな勢いで、もし返してくれれば、わしも安心して観れるんだがのう。どうでもいい話でスマンですたい。